シガラキマニア2021

アーティストによる信楽の見え方

長年そこに暮らしていると見えなくなる風景がまちにはあります。それに気づかせてくれるのはいつも、外から訪れる風の人。信楽には、産業、歴史、文化が土壌にあり、風の人を呼び込むには、十分魅力ある地域です。日々をこのまちで暮らしている私たちは、この風の人の気づきに耳を傾けることで、足元の資源の豊かさを再認識したり、違う視点からの魅力を発見したり出来るのではないでしょうか。今回は、2名のアーティストをお呼びしました。新鮮な眼差しと共に新しい可能性を示していただきます。

作家作品紹介

伊達伸明さん

伊達伸明さん(だて のぶあき) 美術家

1964年生まれ。京都市立芸術大学美術学部大学院工芸科修了。取り壊される建物をウクレレにして保存する「建築物ウクレレ化保存計画」のほか、各地で地域資源再発掘型の展覧会の企画監修活動に関わっています。
最近の展覧会(共同出品含む):亜炭香古学(2015/せんだいメディアテーク)、アートと考古学(2016/京都文化博物館)、とりのゆめ(2017/神戸アートビレッジセンター)、しらべの細道シリーズ(2017〜2020/東北リサーチとアートセンター)、ミカエルさん(2019~2020/崇仁小学校)など。


「お線香の歩き方-信楽のトレイル香」

線香が持つ「香りを楽しむ」「蚊や虫を追い払う」「時を測る」という用途に「移動ログ」としての機能を加え、地上の道のミニチュアに見立たオリジナル線香を制作。火種の移動=人の歩行(トレイル)という設定で信楽をめぐる擬似旅行を提案します。7月に行われたリモートしがらき火まつりの様子や、新たに制作された虫送り香などを展示公開。

  • 入り口から全体
  • 別視点からの展示様子
  • 別視点からの展示様子
  • リモート火まつり香セット
  • ライブ配信の様子

会場

FUJIKI(甲賀市信楽町長野903−1)
※駐車場はございません。信楽地域市民センターに駐車し、徒歩でお越しください。(約5分)

渡部睦子さん

渡部睦子さん(わたなべ ちかこ) http://www.chikahome.nl/

1969年愛知県生まれ、オランダ・アムステルダム在住。
京都市立芸術大学大学院美術研究科工芸専攻陶磁器修了。1995年よりオランダを拠点に活動。1998年サンドベルグインスティテュート、2002年ライクスアカデミー、アムステルダムを修了。世界各国の訪れた土地で、さまざまな文化やコミュニティの人々と出会い、「地元の人に何かを教えてもらう」ことを通じて制作を行う。現地で見つけたものから生まれた作品、そして多様な人々とのコラボレーションを通じて、土地の記憶と現実が交錯する「場」を創造している。


「星見るひとたちと出会う旅」

340万年前から260万年前、信楽を含む甲賀一帯は湖でした。古代湖である琵琶湖は長い年月をかけて伊賀の辺りから北にゆっくりと移動して現在の位置にあります。その古琵琶湖層の地質には長石を含んだ泥がたまり、鮮やかな緋色を出す粘土層となりました。時が流れ、聖武天皇は現在の信楽町宮町地区に都を作ります。平城京と同じく南北のライン上に配置、構築されていた紫香楽宮からは、北側の山にはっきりと北極星を見ることができます。その東北には修験道の聖地である飯道山があり、分水信仰で弁才天が祀られています。
そして現在では田んぼの下に眠っている紫香楽宮の上を少しお借りしてのインスタレーションと、映像作品を一連の流れで感じていただけると幸いです。

ここでお見せする映像作品では、信楽界隈で産出する石英、花崗岩、水晶などの鉱石、そして亜炭(200万年前)、陶片、木片などを電子顕微鏡で撮影しミクロの世界を可視化しています。その表象は神秘的で、人類が登場する遥か前の原始地球を連想させています。
そして後半には、人類が登場し営みが始まっていくイメージを、土地に残る新宮神社の多羅葉の木伝説の琵琶と語り、3000年以上前からインドの宗教儀式が起源と伝わるタブラ言語、言葉になる前の星の歌、山伏の法螺貝の音色、グラスハープから電子楽器と、信楽の映像で表現しています。
古代から宇宙までを感じる妙音の響きは、自然や鳥の声と共に日常から遠い世界へと導いてくれるでしょう。
また、紫香楽宮跡でのインスタレーションは、かつてオランダの漁師から習い、自身のプロジェクトを通じて様々な場所で編んできた網を使い、2000年に発見された紫香楽宮跡の南北のラインを表示しています。
そして古代から現在までの土地のルーツやそのルートや事象を探求し、偶然や自身の記憶も重ねながら、そこにある素材を用い、宮町遺跡に現地の人々と「帆のついた筏」を設置しました。
リサーチから想像し描いた帆には、紫香楽の歴史や現在、また北極星を見ながら航海してきた人たちを想像させるドローイングや言葉を記しています。星や山は、古代から何もない所で移動する遊牧民や漁師の重要なナビゲーションでありました。
昔から、この辺りは木材も豊富で、信楽川、大戸川、瀬田川、淀川を使い筏にして運んでいたといいます。
遠くから眺めると琵琶湖に浮かんでいた丸子船と筏が融合したようなインスタレーションは、信楽に生きた古今の人々や動物、そして遥か遠くから伝承した文化や人間が現れる前の世界を想うための装置になるでしょう。筏に佇み、星を見ていた人々を想像してみてください。

  • 「星見る人たちと出会う旅」北側
  • 映像の一部抜粋
  • リサーチから描かれたドローイングと言葉を記した帆。と自身で編んだ網
  • 「星見る人たちと出会う旅」南側

「星見るひとたちと出会う旅」紫香楽/信楽、日本
渡部睦子 2021 シガラキマニア 2021 展示場所 紫香楽宮跡宮町遺跡/FUJIKI/オンライン
11分57秒、HDデジタルムービー、カラー、ステレオ

撮影:
山田浩之、渡部睦子

編集(映像・音):
渡部睦子

技術補佐:
イヴォ・ファン・スティップハウト

音源のリスト:
Tide 2009、渡部睦子、ラーケンハル市立博物館/Scheltema、ライデン、オランダでのパフォーマンスでの収録
川辺ゆか(唄、ドラム)
MAMIUMU(声、グラスハープ、ミキサー)
Mia Cecille(唄)

「紫香楽秘話―多羅葉伝説よりー」2010 作詞作曲:熊田かほり 信楽ACT2010「四者四葉」のために創作された曲の収録より 熊田かほり(語り、琵琶)

星見るひとたちに出会う旅 2019 渡部睦子 のせでんアートライン 2019 能勢妙見山山頂エリアにて収録
岩岸真成(法螺)

星見るひとたちに出会う旅 2020 渡部睦子 Zone2Source, Het Glazen Huis、アムステルパーク、アムステルダム、オランダでのパフォーマンスの収録
松田あゆみ(リコーダー)
ハイコ・ダイカ―(タブラ)

水の音(天零雫、滔々と流れる、落下適水)2021、収録
熊田かほり(琵琶)

謝辞:
井上清平(大工)、宮町地区の皆さま
小西徳彦(水口子どもの森館長・地質学者)
山田浩之(シガラキマニア実行委員会アーティスト展示リーダー)
山田綾子、内藤美和、川那辺香乃、フランソワ・デイ、ヘンク・W・ホテンシャス、Video Art Lab, Amsterdam
横山絵理(信楽まちなか芸術祭実行委員会事務局)

主催:
信楽まちなか芸術祭 2021

助成:
モンドリアン財団、オランダ

会場

紫香楽宮跡 宮町地区(甲賀市信楽町宮町1155)

オンラインコンテンツ

プロジェクト担当シガラキマニア

山田浩之

山田浩之さん(やまだ ひろゆき)

信楽の陶芸家です。作陶技術も然る亊乍ら山田さんの発想やアイデア、行動力は目を見張るものがあります。2008年~2012年に行われた信楽ACTは、信楽のまちを舞台に「産業・人・芸術」を線で結びたい、という思いから生まれたイベントで、当時の信楽では行われたことがない手法で町おこしを行なったアイデアマンです。

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