信楽といえばあまりにも有名なのが焼き物ですね。
焼き物がこの地で発達してきた一つの要素として、上質な土が採れることが挙げられます。
信楽の子供たちは小さい頃から陶芸に馴染み、学校でも実際に制作をしたりしていますが、この地域にとって土=陶芸材料という、至極当たり前であるけれども画一的なイメージに収まっている土という存在を、今回は全く違った角度からアプローチし、素材の可能性を探っていきたいと思っています。
現在市販されているファンデーションのうち、ミネラルファンデーション、またはクレイファンデーションと言われるものは、化学成分を使わずに、天然のミネラル(鉱物)を主成分とした肌に優しいファンデーションとして人気を集めています。その成分を見ていくと、
マイカ(雲母)
セリサイト(絹雲母)
タルク(滑石)
カオリン
クレイ
二酸化チタン
酸化亜鉛
酸化鉄
などで構成されています。
一方、これらは陶芸の材料としても一般に使われてます。
同じ素材ではあるけれども、その鉱物や粘土を化粧品として使える位の細かな粒子に精製している、
または肌に直接付けるものとして衛生面や採掘場所の環境など一定の条件をクリアさせたものが
化粧品グレードとして売られているというのはとても興味深いことです。
(注*今回製作したコスメ用の土や鉱物は、信楽で取った土以外は化粧品グレードに精製された市販品を使用しています。陶芸材料店では同じ素材が販売されていますが、それはあくまで陶芸の原料であり、保管状況や粒子の大きさが違いますので、そちらは使用していません。陶芸材料店のものを化粧品には使用しないでください。)
まず初めに信楽の土をファンデーション用の土に精製するところから始めます。
昔の粘土採掘場あたりを散策していくと、いくつかの粘土層が地表に露出しています。
いくつかの場所からきめの細かそうな粘土を何種類か採取し、家に持ち帰りました。
持ち帰った後、数日間は乾燥させてから木槌で砕きます。
それを水簸(すいひ)して、数日毎にうわ水に浮いたゴミを捨てる作業を何度か繰り返します。
ゴミが浮いていなければ、最後に少しかき混ぜて、上のほうに溜まった
粒子の細かい土だけを鍋に移して煮沸消毒します。
その後、コーヒーフィルターに移し、天日乾燥させます。
1~2週間かけて完全に乾かしたら、乾いた土をビニール袋に入れ、
金槌で叩くと簡単に細かい土になっていきます。
それを陶芸で使う篩(ふるい)の中で一番目の細かなものを選び、篩に通すと出来上がります。
さて、ここからはコスメ調合のプロの方にご相談です。
甲賀市内で手作りコスメのレッスンなどを主宰されている、
野口かおるさん( https://www.aroma-cosmetic-kaoruya.com/ )
にお願いして、一緒にコスメ調合を考えていただきました。
自ら掘ってきた土が思いのほかファンデーションとして優秀だったので、2種類とも一緒に使い、そして他の材料は
化粧品グレードに精製された鉱物たちを入れて調合しました。
色味成分として、赤・黄・茶の酸化鉄を入れることで自分の肌色に調整できますし、
色味をたくさん入れるとアイメイクやチークにもなり、素晴らしい発見ができました。
また、今回は信楽の土だけでなく、信楽で養蜂されている希少なニホンミツバチの蜜蝋を使ったリップクリームも
併せて製作します。信楽の農家さんと提携し、新鮮で安心安全な野菜や加工品を販売されている、
「しがらきマルシェ」さんが販売している、とってもお肌に良い天然素材だけでできるミツロウクリームを
使わせていただき、それに酸化鉄を少し混ぜると、リップクリームが出来上がります。
ミツロウクリーム詳細はこちら
→( https://shigarakifes.official.ec/items/52177291 )
では、これをみんなで作ってみましょう!! 実践!!
これまでの製作経緯などもワークショップ内で説明していますので、
ぜひその様子を動画でご覧ください。(動画時間約10分)